50代で再婚し、すぐに夫を亡くしてしまったなごみです。
プロフィールは下記からどうぞ。
夫が倒れたのは去年の私の誕生日の2週間後のことでした。
再婚して初めての誕生日に、夫が仕事帰りにケーキと一緒にピンクのバラの花束を買ってきてくれたのです。
サプライズで私を喜ばせることが好きだった夫のことだから、なにかあるだろうと期待はしていましたが、突然大きな花束をもらって嬉しくて大喜びしました。
そんな幸せな出来事からわずか2週間後、夫は突然倒れてしまったのです。
いつまでも咲いていたバラ
夫が突然倒れ、遷延性意識障害(いわゆる植物状態)となってしまい、放心状態だった私はバラの存在を意識することもなく心身ともに慌ただしい日々を過ごしていました。
「そういえばバラはもう枯れてしまったかな」と思ってふと見たとき、まだ生き生きと咲いている姿に驚きました。
一般的にバラの花が咲き続ける日にちは長くて2週間と言われています。
しかし、ピンク色の花弁は少しくすんでしまっていたけれど、まるで夫の生命力とリンクするかのように咲いていたのです。
バラがまだ咲き続けていることに気が付いた日付は正確には覚えていませんが、夫が倒れてから10日以上、そして私の誕生日からは3週間以上経っていたのです。
しばらく放置していて水も取り換えていないのに、けなげに咲き続けているバラの花。
しかも花瓶の水はかなり減っていて、茎の先がわずかに浸かっている程度。
寝たきりで意識がない夫は自発呼吸があるものの、いつ容態が悪化するかわからないと言われていた時期のことでした。
意識がないまま懸命に命をつないでいる夫を思うと、もしバラの花が散ってしまったらその時は夫の命も・・・と考えてしまい怖くなったのです。
このまま終わらせたくない想い
お花は好きだけれど、バラの品種とか長持ちさせるコツとか知識はなかった私。
今は奇跡的に咲き続けているけれど、必ずバラは枯れてしまう。
もし、バラが枯れたときに夫の命も一緒に・・・なんて考えてしまうと苦しくてたまりませんでした。
触れたらポロっと花びらが取れてしまいそうなところを、ていねいに一本一本花瓶から取り出し、
ぬめりが出ていた茎を洗い、花瓶の水も取り換えました。
ピンクだったバラの色は少しくすんでしまったけれど、夫から私への最後のプレゼントの花束、このまま終わらせたくない想いでいっぱいでした。
その時、すでに軽くドライフラワーのようになっていたカスミソウを見て、ドライフラワーにすることを思いついたのです。
初めてのドライフラワーとポプリ作り
夫の容態が気になり、何も手につかない日々を過ごしながらも、何かしていないと落ち着かない状態。
自分でドライフラワーを作るのは初めてでしたが、私が子供のころに母がドライフラワー作りをしていたことを思い出し、輪ゴムとヒモで部屋に吊るして乾かしました。
花の状態が良くないものは、茎は切って花の部分だけ新聞紙に広げてポプリにすることに。
どのくらいで乾くのかもわからず、その状態のまましばらく放置していました。
当時は、夫の容態にハラハラして生きた心地がしない日々のことだったので、記憶があいまいですが、
2~3週間ほどは放置していたと思います。
完成品を飾ってみた
花瓶に入れたドライフラワー
バラは15本ありましたが、そのなかで状態がいいものを花瓶に差しました。
完成直後は夫のことで精いっぱいだったのもあり、写真に残す余裕がなかったので、上記の写真は現時点のものです。
最近追加でドライフラワーにしたスターチスも一緒に飾ってあります。
残念ながら夫は倒れてから半年後に息絶えてしまいましたが、このようにきれいに残っています。
自宅供養の骨壺入れに夫は眠っているのですが、隣に飾ったドライフラワーのおかげでとても華やいだ空間になっています。
自宅供養についてはこちらの記事に書いてます。
ポプリを飾り棚へ
花びらが崩れてきたものは夫が愛用していたガラスの灰皿に入れ、アロマオイルを振りかけてポプリにしました。
ポプリケースを購入しようといろいろと探したのですが、気に入ったものが見つからないためしばらくはこの形で飾っておくつもりです。
お気に入りのものが見つかったら、花びらを少し細かくしてポプリケースに入れようかなと思っています。
セリアで購入したコレクションケース
ポプリ用に茎を外した中で、キレイな形のものはセリアで購入したコレクションケースに入れました。
サイズ感もぴったり。
いつも目につく所に置いています。
空いたグラスも活用
小ぶりのものは使用していないグラスに入れ、トイレの芳香用にアロマオイルを垂らして使用しています。
その時の気分に応じてアロマオイルを使い分けるのも楽しみの一つとなりました。
新たな趣味が見つかった
去年の誕生日に夫からもらった大事なバラの花束。
夫が倒れてしばらくしてから、夫のスマホのデータ整理をしていたところ、カレンダーアプリの私の誕生日の日付に「花屋 17時」の記載があるのを見つけました。
前もって花屋さんに予約をしていたのだろうと思います。仕事終わり取りに行けるように。
どのようにオーダーしたのかな?なんて想像しただけでも胸が苦しくなりました。
でも今では、部屋のあちこちに夫からもらった最後のプレゼントが飾ってある空間がとても愛おしく、目にするたびに「ありがとう」という感謝の気持ちがあふれてきます。
ドライフラワーとして飾るだけではなく他にも工夫をして飾ることによって、見た目だけではなくアロマオイルで嗅覚的にも癒されて一石二鳥。
あの時、枯れずに残っていてくれたバラの花。
残念ながら夫は意識が戻ることがないまま半年後に亡くなってしまいましたが、こうしてバラの花は私を日々、癒してくれているのです。
そして仏花としてお供えしている花も、ドライフラワーになりそうなものがあれば枯れる前に干して作る楽しみもできました。
夫のサプライズプレゼントのおかげで、新たな趣味が出来たのです。
夫からの最後のプレゼントは、花束という物質だけではなく、私の新たな趣味につながる素敵な思い出としてこの先も残っていくことになるでしょう。
以上、誕生日に夫からもらったバラの花束のお話でした。
お読みいただきありがとうございます。
なごみ